いま、ご自身で心がけていることやミッションとして掲げていることは?

長友 海夢さん

私自身、軸になっているのは地域にとってプラスになるかどうか。10年20年後の先を見据えて、これが本当に持続的にできるかどうか、そういったところが一つの判断軸です。
ミッションとしては、いつも言っている話なんですが、これまで環境保全系の活動ってどうしても、何か国の補助金だとか、県の予算とか、そういうものに頼って、行政頼みでずっとやってきている。全部が全部じゃないですが、そういうところが多い印象があります。そうじゃなくて、ちゃんと持続可能な形で猪苗代湖の水環境保全の活動を構築していくというのがミッションです。そのためにも、これまでゴミのように捨てられてきた菱というのを観光資源、地域産業に変えていく。雇用もゆくゆくは生んでいくというところも一つミッションです。
あと3つ目が、自分自身が24、25ぐらいのときに猪苗代に来て、その時点で何のスキルも何もない状態でした。だから、ゼロから何か形を作り上げていく成功事例を作ることによって、福島の可能性、猪苗代の可能性というのを、次の若い高校生や大学生に示し、挑戦できる、活躍できる土壌をつくり上げていくことが私のミッションだと考えています。

今のお話と繋がっていると思いますが今後、どんな展望・ビジョンを描いているのか教えてください。

長友 海夢さん

猪苗代湖って、周辺では誰もが知る有名な湖かもしれないですが、関西の方や海外に行くと、猪苗代湖といっても「何それ、どこ?」という感じなんですよ。それで、(ひし茶の)商品を通じてまず猪苗代湖というものを知ってもらうことですね。いま試作中なのが、お茶のタグ紐に、ひしの実をくっ付けて、「Japanese NINJA Tea」にしようかなと思っているんですよ。海外の人は忍者が好きということもあり。「猪苗代湖に来たら、忍者のまきびしがとれるぞ」って。そういうツーリズムや、インバウンドの誘致につなげていくという導線を、商品を通じて作っていく。向こうで「Japanese NINJA Tea、福島の猪苗代湖に来たら、これ、とれるぞ」となって、ツアーや収穫体験をするところまで繋げていきたいというのが今後の展望ですね。

最後に福島が今後、どのようになってほしいのかお考えがあればお聞かせください。

長友 海夢さん

新しいことに挑戦する若い人が、福島にもっと増えたらいいな、と思っています。環境保全だけじゃなくて、地域経済の発展、この両方を両立して、世界に誇れる世界有数の観光地になっていければといいなと思っています。


株式会社いなびし公式SNSアカウント(Instagram 、Facebook)で日々の取組を発信されています。
詳しくは各SNSをご確認ください。

環境大臣賞

受賞者

株式会社いなびし
代表取締役

長友 海夢

環境大臣賞

受賞理由

かつて水質日本一であった猪苗代湖は、毎年夏に発生する「菱」という水草が水質汚濁や景観悪化の要因となるため、福島県はこれまで回収を行ってきた。この地域において課題であった「菱」を、地域に眠る未活用の資源と捉え「菱」の回収を行い、利活用として菱の実を使用した『猪苗代湖産ひし茶』の商品開発・販売を実施。また、「菱」の回収作業を収穫体験や探究学習等、猪苗代湖の観光コンテンツとして開発した。
これは、資源の利活用、環境保全、地域経済発展に資する優良な取組である。