東日本大震災、東京電力福島第一原子力発電所の事故から13年、福島では今、環境再生や復興の実現、そして未来への継承に向けて、多くの人々や団体が活動されています。
福島のためにひたむきに取り組む方々を、もっと多くの人に知っていただきたい、そして応援していただきたい。
そんな思いから環境省と福島県が未来志向の優れた取り組みに対して行う、福島環境リブランディングキャンペーン「FUKUSHIMA NEXT」表彰制度。今回で2回目となります。
今回は「FUKUSHIMA NEXT」第二回環境大臣賞受賞株式会社いなびし代表取締役長友海夢さんの取り組みをご紹介します。

かつての澄んだ湖水から「天鏡湖」という別名を持つ猪苗代湖。
しかし近年水質悪化が進行。その要因のひとつとなるのが水草ひし(菱)と考えられています。
ひしは夏には湖面を埋め尽くすように増殖し、秋には枯れて腐敗し湖水を汚濁するので、毎年、県では水生植物刈取船で回収作業を行っています。その刈り取ったひしに注目したのが、長友海夢さん。
子どもの頃から猪苗代湖の美しい環境に慣れ親しんだ長友さんは、その「厄介者」を水質や景観の保全のみならず、観光資源としても活用できないかと考えました。まずはひしを原料としたお茶の開発。
元来ひしの果実部分は「ウォーターマロン」とも呼ばれ、食用にも供せるもの。
紆余曲折ののち製品化に成功、香ばしくほのかに甘い「猪苗代湖産ひし茶」ができました。
日本遺産「一本の水路ブランド」の認証を得ている産品です。
(売り上げお茶1パックあたり1円が、「きらめく水のふるさと磐梯」湖美来基金に寄付され水環境保全の活動に活用されます。)
もうひとつの取り組みは、ひしの収穫・ひし茶焙煎を観光資源とした体験コンテンツの提供。
また活動のSDGsの側面を通して、多くの教育機関、生徒・学生に学習の場としても活用されています。 持続可能な環境保全事業と地域産業の創出、観光資源の拡充。
湖の「厄介者」を、地域の課題解決の「主役」に育て上げた長友さん。
「成功事例を作ることによって猪苗代・福島の可能性を次の世代に示していきたい。若い人が挑戦できる土壌を作り上げたい」
福島では未来を見つめて、人々がもう動いています。

環境省は引き続き環境再生事業を安全かつ着実に進めながら、福島の未来を担う人々「FUKUSHIMANEXT」の活動を応援していきます。