東日本大震災、東京電力福島第一原子力発電所の事故から13年、福島では今、環境再生や復興の実現、そして未来への継承に向けて、多くの人々や団体が活動されています。
福島のためにひたむきに取り組む方々を、もっと多くの人に知っていただきたい、そして応援していただきたい。
そんな思いから環境省と福島県が未来志向の優れた取り組みに対して行う、福島環境リブランディングキャンペーン「FUKUSHIMANEXT」表彰制度。今回で2回目となります。
今回は「FUKUSHIMANEXT」第二回福島県知事賞受賞トレ食株式会社代表取締役沖村智さんの取り組みをご紹介します。
セルロース。植物繊維の主成分で、木や紙もその半分はセルロースでできています。
沖村さんはその物質に注目しました。福島はいうまでもなく農業の盛んな地。
ゆえに農業系廃棄物(規格外野菜や野菜等の非食部分)も少量ではありません。
南相馬市に拠点を置く企業トレ食が行っているのは、そのような廃棄物からセルロースを抽出する研究・作業。
それは環境に「よい循環」をもたらします。
まずセルロースを抽出する過程において、農業系廃棄物を大量に処理。
結果的に廃棄物の量を抑え焼却によるCO2の発生を抑制。過程において化学薬品も不使用。
そして植物由来のセルロースをプラスチック等の代替原料として活用することで、石油原料の削減に直結。
捨てられるはずだったセルロースという有用資源が、社会を循環しながら環境によい影響をもたらすわけです。
「トレ食は捨てられるものから有効な成分を取り出し活用する会社。セルロースはその一つです」と沖村氏。
セルロースの抽出過程でシリカやメタンガスを取り出す研究も行っています。
「これまで農家は有償で廃棄物を処分していました。でもそのゴミは『未利用資源』で、実は商品になるものなんです。
環境はもちろん世界的な資源枯渇を考えても、経済構造・循環を作らなければならないと考えています」
トレ食で働く人は沖村さん以外の全員が南相馬出身。
この地で、この地の人々と、世界でも類を見ないオンリーワンの企業が成長しています。
福島では未来を見つめて、人々がもう動いています。
環境省は引き続き環境再生事業を安全かつ着実に進めながら、福島の未来を担う人々「FUKUSHIMANEXT」の活動を応援していきます。