Team Cross FAの創設経緯を教えてください。

天野 眞也さん

Team Cross FAを創設したのは2019年8月ですが、実際の構想は今から約10年ほど前からありました。Team Cross FAの手掛ける製造業DXでは、単なる自動化の先にある、「自律化する」工場をプロデュースします。この「自律化する工場」で重要なポイントは2つあって、1つが「スマートエネルギー」です。工場というのは大量の電力を消費していますが、「環境に負荷をかけない」という意味も含めたスマート化です。もう一つは「スマートファクトリー」で、「賢い」という意味です。この「自律化する工場」を、構想からデジタルシミュレーションから実際のエンジニアリング、そして保守メンテナンスまで一気通貫で提案・実装するチームをつくろうというのが、このTeam Cross FAの創設の背景であり、実際に2019年8月に来るべき製造業DX、第4次産業革命を狙うべく創設したということです。

現在展開している事業を簡単に教えてください。

天野 眞也さん

まずこの南相馬工場が、我々Team Cross FAの基幹工場となっています。我々の展開している事業としては、まずデジタルシミュレーションがあげられます。また実際の自動化設備の設計・製作、あとは物流システム及びデータ収集システムの構築(全体のIoT)です。こういったスマートファクトリーに関連するエンジニアリングを、網羅的に事業として行っております。事業規模としては、Team Cross FAの幹事企業7社で売上約170億円。人数にして1,000名ぐらいの体制です。

福島県に進出した理由をお聞かせください。

天野 眞也さん

大きく2つあります。1つ目は、Team Cross FAの既存の拠点から近かったためです。茨城県つくばを拠点とする日本サポートシステム、栃木県小山を本拠地にするオフィス エフエイ・コムグループ、そしてFAプロダクツ及びロボコムは東京新橋にあります。茨城、栃木、東京ですから、それぞれの拠点からアクセスが非常に良かった。また福島・茨城・栃木で、FIT構想という地域間連携もあります。2つ目は、我々はロボットシステムインテグレータ(以下、ロボットSIer)という職業で、第4次産業革命の担い手としてスポットライトが当てられているんですけれども、ロボットSIerが扱う『ロボット』の部分のブランディングについては、実はこの福島で非常に力が入れられていたためです。ロボットテストフィールドの横というところも大きかったですね。さらに言えば、経済産業省からのご支援も頂いています。これらが重なって、ここ福島に決めました。

他にも候補地があったと思いますが、最終的に南相馬に決めた理由は何ですか?

天野 眞也さん

やはり『南相馬のロボット』ブランドの強さと、公的支援が厚かったということは大きいですよね。
あとは東北復興、福島復興って考えたときに、リブランディングが必要だと思っていて。そういった意味でいうと、『ロボット』というのはみんなが安心して応援できるというところもあって。

また、ものづくりというところで、これはちょっと大きな話になるかもしれないんですけれど、北関東・南東北を「日本のシリコンバレー」みたいにできないかなと。地方創生って叫ばれているじゃないですか。確か日本には1,750くらいの自治体があって、各自治体の皆さんは今後の人口減少の中でどうやって地方を活性化していくかということを真剣に考えられていると思います。僕はやっぱりものづくりってすごくいいと思うんですよ。例えばアメリカでいうと、経済だったらニューヨーク、政治だったらワシントンですが、一方、ラスベガスとか、地域地域にもちゃんとキャラクターがあるじゃないですか。日本はどうもいくつか人口の多い都市はあるけれど、それ以外地方みたいな。そんなことではなくて、ものづくりですと絶対に土地が必要なんですよね。そう考えると、少し地方のほうが、ものづくり工場は建てやすいと。そこに対して新たなるブランディングということで、シリコンバレーと言ったらかっこよすぎるかもしれないですけど、北関東・南東北を、新しいものづくりの街、地域にできたらいいなと。僕は、まさにスマートファクトリー、ロボティクス、そういったところのブランドというのをこの地でつくりたいという思いがありました。