地域創成学科ではどのようなことを学んでいますか?

小松先生

郡山女子大学短期大学部地域創成学科では、文化・歴史系、アート&デザイン系、情報・ビジネス系という三つの分野について学ぶことができます。学科のコア・カリキュラムとして大学で学んだ専門性を地域社会で実践的に展開する「地域創成プロジェクト演習」という授業があります。この授業では複数の地域連携プロジェクトが運営されていますが、そのうちの一つが「つなぐデザインプロジェクト」です。

「つなぐデザインプロジェクト」はどのような取組ですか。

小松先生

「つなぐデザインプロジェクト」ではデザイン的アプローチによる地域課題の発見と解決に取り組んでいます。大学で学んだデザインの知識を実践の中で生かすことが目的です。

「つなぐデザインプロジェクト」のテーマに、福島の「環境再生」を選んだ理由を教えてください。

小松先生

2020年度はコロナ禍ということもあり浜通りに伺うことはできなかったのですが、環境省から福島の環境再生に関する講義等を受けながら7人の学生がペーパーバッグのデザインを練りました。2021年度は震災から10年が経過し、一般の方々の中で震災に関する記憶が薄れ、関心も薄れていることに問題意識があり、また風評被害の払拭の停滞を防ぐことに繋げていくことを「つなぐデザインプロジェクト」の中でできればと考え、福島の「環境再生」をテーマに選びました。

郡山女子大学短期大学部地域創生学科の皆さん

小学校の紅白幕やカーテンを素材に使い、リメイクしようと考えた思ったきっかけは。

小松先生

環境省との打ち合わせの中で双葉町がプロジェクト対象の候補として提示され、実際に双葉町に町の現状を理解するフィールドワークを実施することになりました。その見学地の一つが双葉町立南小学校でした。

2021年10月に、双葉町立南小学校を訪れました。震災後10年間、震災時そのままに小学校が取り残されている姿を見学しました。その時に学生たちと私が、当時の子供達のことに思いを馳せて、震災の記憶を繋ぎたいという感情を抱いたことがこのプロジェクトを進めるきっかけとなりました。

双葉町に進出するアパレルメーカーのフレックスジャパンさんと協働できないかという提案が環境省と双葉町からあり、震災後、町に残っている布材を使用した何らかのプロダクトを制作するという方向性はありました。学生、私(小松)、環境省、双葉町でフィールドワーク後に議論していたところ、「小学校に残された物をリメイクしてデザインしよう」というアイデアが出ました。さらに、デザインした作品を双葉町の成人式の記念品として贈呈しようというアイデアも導き出されました。

今回の作品には、双葉町立南小学校の教室の緞帳の布と、双葉町立北小学校の紅白幕を使用させていただきました。