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環境再生
ツアーレポート

環境再生 脱炭素ツアー

From Fukushima To The World

2022.8.18(木)〜 8.19(金)
環境問題に貢献する福島の“脱炭素”への歩み

世界全体の重要な課題となっている地球温暖化。急速な気候変動や環境の変化を防ぐべく、各国で「カーボンニュートラル(脱炭素)」の取り組みが進んでいます。その流れは東日本大震災で大きな被害を受けた福島でも。脱炭素を中心に新しいまちづくりを進める福島の今をめぐるツアーの様子をレポートします。

1バイオマスレジン福島

まずツアー参加者が訪れたのは、浪江町にあるバイオマスレジン福島。運営するバイオマスレジンホールディングスは、植物などの再生可能な資源をもとにつくられるバイオマスプラスチックを中心に、国内外で生産・営業拠点を整備している企業です。福島の拠点は2021年7月に誕生し、主に福島産の米を活用したライスレジンの生産を進めています。

施設に到着した参加者たちは、担当のバイオマスレジンホールディングス中谷内美昭副社長から事業の概要やバイオマスプラスチックの活用状況に関する説明を受けました。中谷内​さんから、「消費しきれずに無駄になるお米の転用や、活用されていない水田の再活用など、ライスレジンの普及にはさまざまな可能性があります」との話があると、参加者たちはその内容に熱心に聞き入っていました。

レクチャー後は、実際にライスレジン用の米を栽培している水田に移動。未来に向けた新技術の活用が進む現場を目の当たりにしました。

担当者コメント 中谷内 美昭 さん

ライスレジンをはじめとするバイオマスプラスチックは、脱炭素化に向けて注目を集めている技術です。技術や取り組みに関する知識を伝えていくことで、この輪をもっと広げていきたいと思います。

参加者コメント

ホテルのアメニティなど身近な製品にもライスレジンが使われているという話を聞いて興味深かったです。福島の復興というと地道なイメージがあったが、こうした最先端の取り組みをもっと広めていくべきだと感じました。

バイオマスプラスチックの活用は、脱炭素に向けた大きな一歩になると感じました。身近なところでも新しい技術への置き換わりが進んでいるということは発見でした。

2福島水素エネルギー研究フィールド

次に訪れたのは福島水素エネルギー研究フィールド。国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が運営する水素エネルギーシステムの実証運用のための施設です。

担当者の菖蒲一歩さんはまず、「世界最大級の水素製造施設『FH2R』をはじめ、浪江町は今、最先端の水素タウンとして注目されています」と切り出しました。さらに「地球温暖化を防ぐためには、温室効果ガスの排出量を削減する必要があります。水力や太陽光などの再生可能エネルギーの活用は重要ですが、その一方で不安定な面もあるのです」と続け、再生可能エネルギーの余剰分で水素をつくり、いつでも・どこでも使用できるエネルギーとして変換することが必要になると説明。「再生可能エネルギーが持つポテンシャルを最大化し、さまざまな場所で低炭素化を実現できる」と最後に菖蒲さんは教えてくれました。

福島水素エネルギー研究フィールドでは、自立可能なモデル構築と必要な技術の確立を目指し、大規模な太陽光発電設備と研究開発・水素製造プラントの運用が進んでいます。つくられた水素はJヴィレッジや道の駅なみえといった近隣施設をはじめ、福島県内外のさまざまな場所で活用されています。

参加者から「世界と日本で水素エネルギーの研究状況に違いはあるのか」「水素というと自動車のイメージが強いが、ほかにどのような活用法があるのか」など活発な質問が寄せられました。福島から発信される新しい技術への関心の高さが伺えました。

担当者コメント 菖蒲 一歩 さん

再生可能エネルギーを効率的に活用していくためには、Power to Gasの技術が重要になります。福島で進む最新の実証実験の取り組みにぜひ興味を持っていただければと思います。

参加者コメント

水素がそもそも何かという話から、エネルギーとしてのさまざまな使い方まで幅広く学ぶことができました。福島にこんなに大きな研究施設があることが新鮮でした。

今まで水素に対しては水素爆発などあまりいいイメージや知識はありませんでしたが、今回の見学を通して印象が大きく変わりました。

3中間貯蔵施設

ツアー2日目は双葉町・大熊町にまたがる中間貯蔵施設からスタート。東京電力福島第一原子力発電所の事故で放出された放射性物質。それを取り除くための除染により発生する除去土壌等を、一定期間保管するための施設です。

参加者たちはまず、中間貯蔵施設の敷地内を見学。除去土壌等が入った袋が大量に積まれている様子や、遠くに見える福島第一原子力発電所を目の当たりにし、現在も続く復興への取り組みを直に感じ取りました。説明の中では、「地元住民の皆さまのご協力により中間貯蔵施設が整備され、それにより福島県内の除染作業や復興が大きく進みました。」とあり、参加者は真剣に聞き入っていました。また、バスでの移動中には、震災当時からそのままの状態で残されている家屋や生活の跡が垣間見える場面もありました。

中間貯蔵施設で保管されている除去土壌等は、今後福島県外で最終処分していくことになっています。原子力発電所の事故から11年以上が経ち、新しいステップに進もうとする復興への取り組みを、参加者たちは自分ごと化しながら見学していました。

参加者コメント

除去土壌がさまざまなプロセスを経て管理されていることに驚きました。福島の教訓を今後にどう生かしていくかが重要だと思います。

中間貯蔵施設があること自体は知っていたが、実際に目の当たりすることで、除去土壌の量の多さやプロセスの難しさ、苦労を肌で感じた。現場に来ることで、目に見えない放射線の存在や空気感などをイメージすることができました。

4双葉町産業交流センター

中間貯蔵施設の見学後は、双葉町産業交流センターで昼食休憩と自由時間を取りました。

産業交流センターは、1階のフードコートやお土産屋をはじめ、展示スペース、展望台などさまざまな楽しみ方ができる複合スペースです。屋上の展望台からは、福島の海はもちろん双葉町の様子を一望できます。

名物の「なみえ焼きそば」をはじめ、福島の地元の味わいを楽しみながら、参加者たちは楽しい時間を過ごしました。

参加者コメント

展望台に行った際に海が見えましたが、震災の映像では真っ黒だった海が今は青々としていたのが印象的でした。双葉町産業交流センターを中心に、さらに復興が進むといいなと思いました。

5東日本大震災・原子力災害伝承館

東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故に関わる資料を展示する東日本大震災・原子力災害伝承館。2020年に完成した施設内では、2011年に発生した震災と原子力発電所の事故に関する貴重な映像や資料を展示しています。

参加者はまず、シアタールームで福島のこれまでの歩みを振り返るプロローグ映像を鑑賞後、館内を自由に見学しました。展示にはそれぞれ「災害の始まり」「原子力発電所事故直後の対応」「県民の想い」「長期化する原子力災害の影響」「復興への挑戦」の各テーマに分かれており、災害発生当時の緊迫した様子や、災害によって奪われた生活について学ぶことができます。

参加者は、展示物をじっと見つめたり写真を撮影したりするなど、一つ一つの展示物をじっくりと見学していました。災害の発生を経て、大きな傷を受けつつも、未来に向けて進む福島の今を感じ取っていました。

参加者コメント

展示数が多く、今の福島をまとめて知ることができる施設でした。本物の展示物を見ることで、学ぶことがとても多くあり、特に福島の復興をどう進めていくかに関する展示が印象に残りました。

壊れた消防車など、被災した人のリアルを知ることができました。自分ごと化して考えることができ、ここで学んだことを友人や家族にも伝えたいと思います。

6特定廃棄物埋立情報館「リプルンふくしま」

次に訪れたのは、放射性物質に汚染されたごみの埋立処分事業について情報発信を行なっているリプルンふくしま。埋立事業の概要や必要性について、最新の展示技術をもとに「動かし」「さわり」「遊び」ながら学ぶことができます。

参加者は、担当の泉田賢一さんの解説を受けながら展示を見学。原子力発電所の事故により拡散した放射性物質の現状や空間線量率の推移などについて説明を受けました。泉田さんは「放射能には自然低減の特徴があります。また、除染作業が進むことによって、この地域の空間線量率は下がってきています」と語り、今後もこうした汚染されたごみや土の除去が進んでいくことの重要性を伝えました。

施設の見学後、参加者全員でモニタリングフィールドに移動し、計器を手に実際に空間線量率を測定する実験を行いました。測定する場所によっても数値が変わるため、参加者は移動したり計器の向きを変えたりしながら、測定を進めていました。

担当者コメント 泉田 賢一 さん

放射線による汚染は、目に見えないからこそ不安に思われる方もいるかと思います。目に見えないからこそ、データを通して見るという姿勢が重要になります。今回は空間線量率の計測体験をしてもらいましたが、実際に自分でやってみて体感するという経験を大事にしてほしいです。

参加者コメント

放射線について深く学びました。科学的な知見に基づいて、正しい知識を身につけることが重要で、自分たちも関東に住みながらできることがないか、模索していくことが必要だと感じました。

中間貯蔵施設も含めて、安全に安全を重ねて作業をされていると感じました。空間線量率が少し場所を移動しただけでも変化するのを見て、目に見えなくても数値の変化でその存在を感じ取ることができました。

7座談会@Linkる大熊

全5ツアーの参加者がLinkる大熊に集まり、「いま、私たちが福島について知り、伝えたい10のこと」について考える座談会が行われました。会場にはゲストとしてお笑い芸人の小島よしおさんも駆けつけました。

参加者は10の班に分かれてディスカッションをスタート。参加したツアー以外のメンバーとは初めての顔合わせになりましたが、これまでの行程の中で見て、感じたことをもとに福島が持つ明暗に関する話題や、復興に向けた取り組みの今など、活発な議論が交わされました。

第4班は、8人のメンバーをさらに二手に分け、4人ずつで意見を交換。その中で出た2つの答えをさらに検討して、チームの意見としました。ツアーを通して、福島の人たちが自分たちの知らないところで前向きに動き出していたことを知り、「実際に目で見て感じること」の大切さを意識。「福島を五感でかみくだこう!」というテーマで発表を行いました。

参加者コメント

他の人の話を聞くことで、ビビッと感じるところは本当に人それぞれだと感じた。それだけたくさんの魅力がある福島だからこそ、その現状を伝えていくことが必要だと考えました。

議論を行う中で、作業している人の思いやこの先の復興の取り組み、土地を提供した住民の方の存在など、さまざまなことを想像することが重要だとあらためて感じました。

ツアーのまとめ

震災から“脱炭素”のまちへ​

バイオマスプラスチックや水素エネルギーなど、脱炭素に向けた新しい技術の導入が次々に進む福島。東日本大震災からの復興の道のりは長く険しいものですが、その先には未来に向けた新しい福島の姿が見えてきます。ツアーを通して、参加者たちはその可能性を肌で感じ取ることができました。復興を超えて、日本を代表する脱炭素のまちへ。福島の挑戦は今後も続いていきます。

取材・文:原澤 大樹

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