基調講演
『新しいモビリティを活用したまちづくりへの貢献
「福島の未来の可能性」』
常務執行役員
総合研究所所長
土井 三浩
日産自動車株式会社 常務執行役員 総合研究所所長 土井 三浩氏より、2021年2月に締結しスタートした「福島県浜通り地域における新しいモビリティを活用したまちづくり連携協定」における取組をふまえ、お話をいただきました。
地方の課題を解く最先端の取り組み新しいモビリティを活用したまちづくりパネルディスカッションに先立ち、土井三浩氏が「新しいモビリティを活用したまちづくりへの貢献『福島の未来の可能性』」と題して講演。その後、村尾信尚氏とトークセッションを繰り広げた。
環境にも維持にもやさしい移動の形とは
日産自動車は現在、浪江町で新しいモビリティを活用したまちづくりに協力している。「持続可能な社会の中で、ワクワクする日常をつくりたい」。これが我々の思いだ。我々ができることの一つは環境問題、もう一つは移動の課題の解決。昔と同じものを再生するのではなく、これから先の未来を見据えた新しい移動をどうつくるか、環境を踏まえながら考えている。
浪江町、浜通りに限らず地球温暖化、高齢化、都市化、過疎化と、移動の課題は多い。こうした課題を解くには新しいアイデアが必要だ。そこでは「環境にやさしい移動」「維持することもやさしい移動」という2点が大事になってくる。環境について日産自動車は、カーボンニュートラル社会の実現に向けた切り札として電気自動車を普及させたいと考えている。
まちづくりには移動の目的が必要
移動については日常で頼りになるサービスが必要。少ない人口でも維持できるアイデアを模索している。 昨年11月から今年2月にかけ、浪江町で「なみえスマートモビリティ」というオンデマンド乗合サービスの実証実験を行った。「どこにいても1分歩けば停留所」をコンセプトに、避難指示が解除された町内全域をカバー。全住民の約15%がユーザー登録し、1日50回という地方としては驚くべき利用実績を記録した。
まちづくりを考えると、単に人を移動させるだけでは意味がない。何のために移動するか、誰と会うかという目的とセットで考える必要があり、町と一緒に賑わい創出事業も始めた。
今日の話は、日本全国どこでも起きる地方の課題。これからの日本をつくる最先端の取り組みが浪江町、浜通りで始まっている。
移動を活性化させて日常をもっと楽しく
再生可能エネルギーがキーワードの一つ。福島で地産地消できるなら、未来は明るいのでは。
明るい暗いよりも、やらねばならぬだと思う。ただ、再生可能エネルギーは明るい話ばかりではない。太陽光も風力も場所が必要。日本は国土が狭いので、いかに効率よく上手に使うかがポイントだ。
車から始まり、暮らしを変える試みだ。
実現したいのは便利な移動。車を所有するのではなく、利用する形でもいい。移動の動機をつくり、移動を活性化させることで、人々の日常がもっと楽しいものになっていく。
浪江町での試みを県外に広め、福島に対する理解を変えてほしい。
日本の将来を変える取り組みだ。地域ならではのアイデアを生かし、活動の輪を広げていく。